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​過去タイトル

クリニック通信37回目

 ワクチン抗体価検査について

2025年2月1日

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クリニック通信36回目

​ 食べない時は無理に食べさせないで

​2022年10月4日

 

クリニック通信35回目

 その胃腸炎本当に暑さのせい?

2022年6月8日 水曜日

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クリニック通信34回目

 タマネギ中毒について

2022年4月4日 月曜日

​

クリニック通信33回目

犬のワクチン接種について

​2021年7月4日 日曜日

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クリニック通信32回目

ウイルスについて2

2020年4月25日 土曜日

 

クリニック通信31回目

ウイルスについて1

2020年2月29日 土曜日

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クリニック通信30回目

ノミ、ダニSFTS​ウイルスについて

2020年2月8日 土曜日

​

クリニック通信29回目

トキソプラズマ症について

2019年5月27日 月曜日

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クリニック通信28回目 

安楽死について考える

2019年2月21日 木曜日

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クリニック通信 27回目

多飲多尿は怖いが無尿はもっと怖い

2019年1月26日 土曜日

​

犬のワクチン抗体価検査のお勧め

2018年9月20日 木曜日

 

クリニック通信26回目

〜ダニ媒介性SFTSウイルス感染症〜

2017年10月11日 水曜日

 

クリニック通信 25回目 

時間外の電話、新寮について 

2017年6月23日 金曜日

​

クリニック通信24回目

誤診って?

2017年2月20日 月曜日

​

クリニック通信23回目  

~ヒトと動物の時間の違い~

2016年10月3日 月曜日

 

クリニック通信22回目

2016年3月1日 火曜日

 

​クリニック通信21回目

節足動物媒介感染症

2016年2月27日 土曜日

 

クリニック通信20回目

犬の歯科処置について

2016年2月2日 火曜日

 

クリニック通信19回目

定期来院定期検査の重要性

2016年1月7日 木曜日

 

クリニック通信18回目

本当にわがままでしょうか?

2016年1月7日 木曜日

​

クリニック通信17回目

獣医師からの視点 急ぐべき疾患とは

2016年1月7日 木曜日

 

クリニック通信16回目

動物医療保険について

2016年1月7日 木曜日

クリニック通信第37回目  ~ワクチン抗体価検査について~

 

 当院では、10数年ほど前からワクチンの毎年の接種をやめ、抗体価検査に切り替えました。実際、抗体価(ワクチンが有効に効いている証拠)は短い子で2年多くは5年以上、最高は13年の子も当院では確認しています。ただ、不活化ワクチン(狂犬病など)は、液性免疫しか獲得できず有効期間も短くなります。

 

 アメリカでは、20年以上前から犬の混合ワクチンを毎年接種することをしていません。抗体検査が主流です。コロナと一緒で日本だけがアホみたいにワクチンをせっせと輸入しているのです。

 

 ではなぜ日本では毎年接種を求められるのでしょうか?獣医の手抜きもあるでしょう。また少なくなりましたが、ペットホテルなどの宿泊業が接種を求めてくるケースがあります。最近は、抗体検査への理解も深まり90%以上は理解していただいています。しかし、いまだにアホな業者もあり抗体検査ではダメでワクチンを打ってほしいと言われるのです。

 

 そもそも、犬のワクチンは生ワクチンで細胞性免疫と液性免疫を獲得できます。細胞性免疫は検査ができませんが液性免疫よりも長く持続します。現在液性免疫しか調べる手段がないので抗体検査を行います。あくまで、免疫の目安としてです。抗体価が十分でであるという証明書は、ワクチン接種して、抗体価のない子よりも有効な証明書のはずですが、いまだにアホな業者は存在します。

 

 日本は、変わることが本当に苦手な国です。できることなら、そのような宿泊先はこちらから断るくらいの気持ちがあっても良いのではと思っています。そうでないと、アホ業者はいつまで経っても無くなることはありません。ワクチン接種証明書と、ワクチン抗体価検査証明書のどちらに価値があるのかは、普通に考えることができる人なら誰にでもわかるものだと思うのですが。

 

 

 接種する必要のないワクチンを打つことは、免疫撹乱を起こし様々な免疫疾患を起こします。免疫介在性溶血性貧血、免疫介在性血小板減少症、エバンス症候群、天疱瘡、などなど。抗体検査に切り替えてから、それらの病気は全く見ることはなくなりました。恐らくワクチンが影響していたのだと思われます。病気予防のつもりが病気を作っているのでは獣医として情けない話ですよね。

 

 私は、ワクチン全てを否定しているわけではありません。必要な分だけ接種すればいいと考えています。抗体検査はそのための検査なのです。

 

 また、ワクチンビジネスについても少し疑問を感じています。ワクチンは、ほとんどが海外からの輸入ものになります。狂犬病ワクチンだけが日本製です。日本は、ワクチンの開発競争に負け、製薬会社に開発するだけの力はありません。結果、ワクチンを多量に日本へ押し付けられているのではないかと勘繰ってしまいます。もう少し賢くワクチンと共存できればと思っています。

 

​ 恐らく、今回がクリニック通信の最後になると思います。これからは、Lineで定期的に情報を提供いたします。

 

 

​クリニック通信36回目 〜食べない時は無理に食べさせないで〜

 

 動物が食べなくなった時は、必ず理由があります。まず一番初めに考えることは、現在食べられない状態なんだと認識することです。1日位なら様子をみても良いかもしれませんが次の日も同様なら病院へ行く方が確実だと思います。

 

 よく、飼い主さん目線では『食事が飽きたのではないか?』と考える方が多いです。絶対にそんなことはありません。日本人が絶対にお米を食べたくないと拒否することは絶対にないと思います。動物も同じです。

『食事を変えたら食べた!』という方もいるかもしれません。しかしその食べたは興味半分で口にしただけで必ず数日で食べなくなります。結果病気の発見を遅らせるだけです。しかも、よく食いつくものほど油分が多く消化器に負担をかける食事ばかりです。

 

 病気でなく食事にムラが出る代表的なものは犬の偽妊娠です。こちらは全く食べないことはありませんが、食べたり食べなかったりといったことが2ヶ月ほど続きます。この間に喜んで食べるものを与えれば、以前の健康的な食事は食べなくなっていきます。

よく食べるものほど油分が多いのです。油分が多いとどういう事になるかと言いますと脳から脳内麻薬が出て中毒になるのです。人で言えば代表的なのはポテトチップスです。大人であればこれ以上食べれば死ぬと思って止めますが子供はどうでしょう?こちらは、塩と油の中毒症状で脳内麻薬が大量に放出される結果起こるものです。結果元の食事には戻れなくなるのです。

 

 病気になって食べられない時も当然あります。多くは何らかの理由で消化管が動かなくなって食べられなくなります。そのような時油分の多い食事を食べればどうなるでしょう?さらに消化管にダメージを与える結果になります。人間が良かれと思って食べさせたことが結果として動物の状態を悪化させてしまうのです。

 

 また、腎臓病の時も同様です。タンパク制限食を与えていきますが、食べないからといって違うものを与える事は良くありません。一時的に食べるものはたいがい高タンパク高脂肪食です。結果として高窒血症になり更に食べられなくなっていきます。負のスパイラルに陥ります。食べなくなったら状態が悪い(高窒素血症)と考えることが一番先です。食事に飽きたわけではありません。

 末期癌等で食べられない時も同様です。多くの人は『もう命が短いのだから好きなものを与えればいいじゃないか』と考えがちですがこの考えは健康な人間の考え方で動物にとっては余計なお世話なのです。今、私は健康です。死ぬ前に大好きなお寿司を食べて死にたいと考えます。戦争で死ぬならそうれで良いでしょう。しかし私が末期癌で死ぬ時、おそらく大好きなお寿司の酢の匂いを嗅いだだけで恐らく嘔吐するでしょう。むしろ食べさせないでくれとお願いすると思います。

 

 動物も同じです。無理に食べれはその後に待っているのは下痢と嘔吐です。当たり前ですよね。食事を受け入れられない体の状態なのですから。動物は自分でコントロールしているのです。

 

 では、末期癌で食べられない時どのようにすれば良いのでしょうか?これは動物のペースに合わせる事です。食べられる範囲で食べられるタイミングで無理をさせないで食べさせる事です。この考えは、健康な人間ではなかなか理解してもらえないものです。個人的には脱水はさせないように水分だけは補液してあげた方が良いと考えています。人の末期も同様のはずです。

 

 

クリニック通信35回目   ~その胃腸炎本当に暑さのせい?~

 

 犬や猫の下痢や嘔吐は、高温になった1~2日後に多くなるのは確かです。特にゴールデンウィーク、梅雨明けの1週間、お盆の高温期など特に多くなります。でも、室内の動物たちは体調を崩し病院へやってきますが、屋外の動物たちはほとんど来院することがありません。不思議ではありませんか?決して屋外飼育の子がほったらかしにしている訳ではありません。

 

 2年ほど前から、よく下痢や嘔吐を繰り返す子を対象に室内のエアコンの設定温度の確認をするようにしました。お腹を壊しやすいこの設定温度は、23度~25度の設定がほとんどでした。それに対し、お腹の丈夫な子の家のエアコンの設定温度は26度~28度がほとんどでした。400件ほど聞き込みの結果です。意外な結果だと思いませんか?

 

 実は私もエアコンが苦手で診療中にタオルを首に巻いたりもしています。人工的に空間を冷やすことは体にかなりの負担をかけていることが想像できます。関節の痛みやけ怠さ、知らないうちに体に負担をかけているのだと思います。

 

 昨年夏より治療と一緒に室内の設定温度の変更をお願いすることにしました。人がいるときは人に合わせて生活しやすい温度設定をお願いしました。留守番の時の温度設定だけ28度から29度にしてもらうことにしました。すると、昨年の夏の胃腸炎を起こした数が激減しました。やっぱりエアコンが原因だったのだと確信しました。

 

 動物だけの留守番の時25度設定でお出かけするとドアの開閉もなくなり動物の生活する床部分はおそらく22度以下になっていると思います。きっとその温度のギャップが胃腸に負担をかけ嘔吐や下痢といった消化器に異常をきたすのだと思います。特に猫はエアコンが苦手で、真夏でも窓辺で日向ぼっこをするくらいの動物です。猫の場合は29度以上の設定でほんのりエアコンが効くくらいで問題ないと思います。

 

今の日本の夏を考えると、エアコンなしはリスクがあると思います。ちょっと暑いかなくらいの温度設定でちょうど良いのだと思います。動物の生活する床部分は設定温度よりも絶対に低くなっていますので。

 

 また、この温度設定を高くすることでもう一つメリットがあります。落雷による停電時の死亡リスクの低減です。毎年、落雷で停電が起こり、数件死亡例があります。圧倒的に短頭種のパグやフレンチブルドッグが多いのですが設定温度が24度以下の家ばかりでした。停電が起こり急激に気温が上がりそのギャップに動物がついていかなかったためと思われます。設定温度を高くすることでそのギャップを少なくでき、動物がある程度の暑さに慣れることで死亡するリスクは減るのです。

 

 今年は電力逼迫とのこともありますので少し留守番時の温度設定を見直してみてはいかがでしょうか?電気代の節約とともに、病院代の節約にもつながるかと思います。

 

 

 

クリニック通信 34回目 ~タマネギ中毒について~

 

 犬や猫にタマネギやネギは良くないという話はよく聞くかと思います。でも、なぜかを知っている人は意外と少ないかと思います。どのような症状になり、どれくらいの確率で起こるのかを正しくお伝えしたいと思います。

 

 まず、玉ねぎに含まれる、有機チオ硫酸化合物が赤血球を破壊し溶血を起こし赤い尿(赤色尿)を出す、貧血を起こす、嘔吐や下痢など消化管障害といった病態になります。一番怖いのが赤色尿です。厳密には血尿とは異なります。私が学生の頃は、アリルプロピルジスルフィドが原因と習いましたが、現在は訂正されています。

 

 有機チオ硫酸化合物はヒトでは普通に分解できますが、犬や猫では消化酵素がないと考えられています。しかし犬種での違いがあることから腑に落ちない点はありあすが、できることなら与えないに越した事はありません。

 実際、本物のタマネギ中毒はどれくらい見かけるかと言いますと、玉ねぎを食べてしまった事例の約5%ほどです。その多くは僅かな摂取量です。症状を出す症例は特に柴犬、秋田犬に多いように感じます。実際プードルがタマネギ1個食べてもなんでもないということもあります。かと思えば炒飯に含まれる僅かなネギで溶血を起こす子も実際にはいます。動物種では、猫>犬>草食動物>ヒトとなります。

 

 猫では、自らタマネギやネギを食べることはまずありません。ほとんどは犬です。犬では、どれくらいの量を食べると問題なのか?一般的には中型犬でタマネギ1個と言われています。でも、個体差があるのも事実です。日本犬はタマネギ中毒になりやすいと考えていた方が良いかと思います。

 

 食べてしまったらどうしたら良いのか?ネットでは食塩を飲ませて吐かせるなんてありますが絶対に行わないでください。食塩中毒で死んでしまう恐れがあります。間違いなくタマネギ中毒よりも死亡率は高いと思います。

 実際、動物病院では余程の量でない限り催吐処置は行いません。明らかに多ければ催吐処置を行います。目安としては、5kgの犬で1/3個以上食べてしまった場合です。犬種も考慮します。病院では、トラネキサム酸の静脈注射で行います。しかし、1/300の確率で発作を起こす場合があるそうです。100%安全とは言い切れません。

 

 また、自宅での応急処置としてオキシドール2倍希釈という方法もあります。こちらも、使用後の胃粘膜の荒れ方がものすごいことを考えると個人的にはあくまで応急処置と捉えています。病院ではほとんど行う事はありません。赤色尿が出てしまった場合、貧血の度合いを見て輸血の必要性等を考えます。軽度なら、輸液等で毒素の排出を促す。抗酸化物質の投与等など対症療法を行います。

 

 植物での中毒は、球根系(チューリップ、水仙、ヒヤシンス、シクラメン、鈴蘭)、アジサイ、ヒガンバナ、アサガオ、キョウチクトウ、トリカブト、アヤメなどです。

 

 

 

クリニック通信   33回目 犬のワクチン接種について

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 まだまだ、日本では犬の混合ワクチン接種が毎年当たり前のように行われています。ワクチンには種類があり、犬の混合ワクチンは生ワクチンになります。ヒトでは、生ワクチンは一生涯で数回しか打つことはしません。不思議ではありませんか?

 

 今までの獣医さんの言い訳としては、抗体検査にかかる費用がワクチン接種よりも遥かに高いからというのが理由でした。今では、少量の採血で簡単に院内検査ができ費用もワクチン接種とさほど変わらず行えます。もうその理由は通用しませんよね?ではなぜ?大人の事情ですよね。

 

 当院では15年前より混合ワクチンの毎年接種をやめ、副反応のあった子に抗体検査を実施しさらに5年前より全ての個体で院内での抗体検査を実施しております。

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 結果、子犬を除き当院ででワクチン接種する犬は年間10頭もいなくなりました(レプトスピラは除く)。そして、抗体が持続する期間は概ね3〜8年ということも分かってきました。個体によって違いますので毎年チェックは行っております。合格ならワクチンを打たなくても良いお墨付きの証明書を出します。

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 ワクチンを打たなくなったことで病院内で大きく変わったことは、免疫介在性の疾患が1/20以下になったことです。IHA(免疫介在性溶血性貧血)、ITP(免疫介在性血小板減少症)など。生ワクチンは、生体内で免疫撹乱を起こしますので、恐らくそれが原因だったのだと個人的には考えています。病気予防の目的で毎年ワクチンを打って病気を作っているようでは本末転倒ですよね。

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 勘違いされては困るのですが、ワクチンを打たなくて良いということではありません。抗体が少なければ接種の必要があるということです。つまり、必要以上にワクチン摂取を行わないということです。当院では、ギリギリの抗体価だった場合、翌年に混合ワクチンの追加摂取を行なっております。

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 実は、アメリカでは20年以上も前から犬の混合ワクチンの毎年摂取なんて行われていません。抗体検査は当たり前のように行われていました。おそらく日本語記載の犬のワクチンについての事実が書かれたもほとんどありません。おそらく誰かが圧力をかけているのだと思います。いい加減日本も世界基準になれるように変わっていければと個人的には思っています。すでにあらゆる面で20年以上もアメリカから遅れているのですから。悲しい事実ですが、今となっては全ての面において日本は先進国ではありません。

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​ ちなみに、狂犬病ワクチンは不活化ワクチンでヒトのインフルエンザワクチンと一緒です。こちらは、弱いワクチンで副反応は遥かに少ないものになります。こちらは法律で接種義務になっております。

 

 

クリニック通信 32回目  ~ウイルスについて2~

 

 世間ではコロナウイルスが蔓延し皆様がものすごく不安を感じてらっしゃることはよくわかります。ウイルス学を学んだ私でさえ不安を感じることもあります。診療中も60%くらいの患者様から新型コロナウイルスの説明を求められます。少しウイルスについてお話ししたいと思います。

 

 本来ウイルスは、種をまたぐ事はありません。何故かと言いますと、ウイルスの増殖過程で、細胞の核、特に遺伝子(DNAやRNA)に潜り込むからです。遺伝子型が違えば当然増殖ができなくなります。逆に言えば、サルとヒトは遺伝子が99%一緒です。手乗りのリスザルが感染するウイルスはヒトへも当然感染します。また、ウイルスは生きた細胞の中でなくては増殖も生きていくこともできません。環境中で数時間生きられたとしてもいずれ死に絶えます。

 

 よく間違えられるのは、コロナウイルスと言っても色々あります。犬コロナウイルスは以前から存在しそれほど悪さをするウイルスではありません。犬コロナウイルスは、猫に感染することもありませんしヒトにも感染しません。また、猫コロナウイルスも以前から存在し同じように犬に感染することもなければヒトにも感染しません。こちらの犬コロナウイルスや猫コロナウイルスはαコロナウイルスに属します。

 

 新型コロナウイルスはβコロナウイルスに属します。犬コロナウイルス、猫コロナウイルスは同じコロナウイルスでも全く別もものだという事を理解してください。

 

 インフルエンザウイルスについてもお話ししてみましょう。起源は豚インフルエンザウイルスと言われます。こちらが遺伝子変化をして鳥インフルエンザとなり鳥インフルエンザウイルスが遺伝子変化を起こしてヒトインフルエンザウイルスになります。豚インフルエンザウイルスや鳥インフルエンザウイルスが直接ヒトに感染ることはないのです。

 

 種をまたぐ代表的なウイルスは狂犬病ウイルスになります。こちらは、遺伝子変化を起こさず多種多様の動物に感染します。ヒトへの感染の95%は犬からの感染になり、それが理由でヒトに変わって犬が予防接種を受けるのです。

 

 では、香港で犬が新型コロナウイルスに感染したと報告がありました。それ以降はどうでしょうか?トラで1件です。もしかすると学者の勇み足かもしれません。今後さらに報告数が増えれば本当かもしれませんがどうでしょう?

 

 以前猫のエイズウイルスがヒトへ感染したと1件の文献が存在します。それ以降は全くありません。当然ヒトのエイズウイルスと猫のエイズウイルスは別物ですので種を超えて感染することはありません。

 

 ただ、これらのウイルスが人工的に生物兵器として作られたとしたら話は別です。今回の新型コロナウイルスは、遺伝子型が今まで存在するコロナウイルスとはだいぶ違うようです。もしかすると今までの前例が当てはまらない可能性も否定はできません。そうでない事を祈るしか今はできないのが現状です。

 

 今現在私たちにできることは、ヒトが新型コロナウイルスに感染しないように努力することです。犬に感染させないようにではありません。もう少し冷静になっても良いのではと思います。

 

世界小動物獣医師会の見解もリンクしておきます。

https://wsava.org/wp-content/uploads/2020/03/COVID-19_WSAVA-Advisory-Document-Mar-19-2020-Japanese.pdf

 

 

クリニック通信31回目  ~ウイルスについて~

 

 世間は、新型コロナウイルスで騒がれています。今回少しウイルスや、検査、解釈についてお話ししたいと思います。

 

 本来、ウイルスは種特異性(宿主を選ぶ)があり種をまたいで感染することは比較的希です。犬のジステンパーウイルスや犬のアデノウイルスは人や猫には感染しません。ヒトの感染するアデノウイルスは犬とは遺伝子型が違い別物です。同じ名前のウイルスでも遺伝子型が違えば別のウイルスになります。

 

 猫のAIDSウイルスもヒトのAIDSウイルスとは別物でヒトに感染することはありません。と同時に犬に感染することもありません。種をまたぐ代表的なウイルスは狂犬病ウイルスになります。だから毎年の接種が法律で義務付けられているのです。

 

 昔から、犬にはイヌコロナウイルス、猫にはネココロナウイルス、変異型のFIPウイルスが存在します。このウイルスはヒトには感染しません。症状も正直たいしたものではありません。猫のFIPウイルスは致命的です。FIPウイルスはネココロナウイルスの突然変異型と考えられていて簡易検査ではコロナウイルスと区別することができません。

 

 ウイルスの検査にはPCR法やELISA法などがあります。新型コロナウイルスはPCR法で遺伝子を増幅させ遺伝子型を調べる検査になります。時間も費用もかかります。遺伝子が存在すればものすごく精度の高い検査です。しかし、採材したものにウイルスが存在しなくてはそもそも役に立たない検査になってしまいます。なぜ、全員に検査をしないのか不思議に思いませんでしたかか?

 

 検査には、感度、特異性という大きく2つの精度があります。

 

・感度  その病気を持つ患者さんの  

     何%が陽性と出たかの確率。

 

・特異性 その病気を持たない患者さんの

     何%が陰性と出るかの確率。

 

 感度を高くすれば特異性は下がり特異性を上げれば感度が下がります。では、感度が95%で特異性が95%の検査は本当に信頼できるのでしょうか?

 

 例)新型コロナウイルスの予想頻度が5%と仮定した場合で全員に検査しました。

        ウイルス保有

       陰性   陽性   

検査 陰性  90.25%    0.25%  

検査 陽性  4.75 %     4.75% 

合計      95          5        

 となり、検査が陽性と出た患者さんの2人に1人つまり50%は誤診となります。

 

例)新型コロナウイルスの予想頻度が90%と仮定した場合はどうでしょう?

         ウイルス保有

        陰性   陽性 

検査 陰性   9.5%        5.5% 

検査 陽性   0.5%   84.5%

合計      10             90

 

となり84.5/85つまり陽性の99.4%は正しい。

5.5/15つまり陰性の36%は誤りとなります。

 

 検査とは、十分に疑いを強めて行えば価値はありますが、予想頻度が少ない場合は、外れる確率がものすごく高くなり誤診につながります。そもそも、PCR法は、採材がきちんとできていること、コンタミが無いことが必須です。少し難しいお話でした。

 

 

クリニック通信30回目   ~ノミダニ駆虫 SFTSウイルスについて~

 

 今年より、犬、猫含めノミダニ予防を強力にお願いしたいと思っています。お願いできない場合は診療拒否することも検討しています。どうしてなのかをお話ししたいと思います。

 

 SFTSウイルスは、マダニが媒介します。現在地球の温暖化等の影響かわかりませんがかつて無いほどマダニが多くなっています。以前はネコにマダニがつくなんてことはあり得ませんでしたが現在では当たり前になってしまいました。

 

 そして埼玉で捕獲されたマダニからSFTSウイルスが分離されています。SFTSウイルスは、発熱、血小板減少を伴い、時に人を殺します。そして、マダニが直接ヒトへウイルスを媒介することもありますが、SFTSウイルス感染動物からもヒトへウイルス伝播を行います。

 

 昨年、宮崎県の獣医師と動物看護師はSFTSウイルスに感染しました。猫からの感染だそうです。現在、九州地方の動物病院では、獣医師、動物看護師はゴーグル、手袋を装着し完全武装で診療に当たっているそうです。もちろん駆虫されていない動物は診療拒否だそうです。

 

 当院も、その現場を重く受け止め今年はノミダニ駆虫を強く勧めることにします。当院では犬の患者様95%はノミダニ予防をされているので問題ありません。ただ、散歩しないからなどの理由で予防されていない方もいます。そのような方にも今年はノミダニ予防をお願いするようになると思います。

 

 もし自分の飼っている動物で、ダニが原因で他人又は家族を殺してしまった場合どのような気分になるでしょうか?私たちの仕事は、SFTSウイルス感染に対してハイリスクです。私たちも従業員の命を守る必要もあります。ご理解いただけない場合は、診療をお断りしなくてはならないかもしれません。

 

 そして、ノミダニ駆虫は動物を飼う上で最低限のマナーでは無いでしょうか?できない方はむしろ動物を飼う資格はないと言い切っても良いのではないでしょうか?

 

 ノミダニ駆虫は、同じ薬剤で予防できます。実は、ノミ由来の感染症もあるのです。猫ひっかき病というノミ由来のリケッチア病があります。実は私の家内が、以前感染しました。私は、この病気だと思い病院へ連れて行きましたが4件目の病院でようやく信じてもらえました。特効薬ですぐに落ち着きましたが当時の医者は、病気は医者が診断すのだと言って頑なに猫ひっかき病を疑ってもらえませんでした。

 

 動物由来感染症って実際のところ医療現場での認識というのはそんなもんです。おそらくSFTSウイルス感染も疑って診療してもらえなければ恐らくただの風邪と診断されるのがオチだと思います。(そもそもアメリカでは40年も前から風邪という診断をするのは許されなかったそうです)。でも日本の病院はどうでしょうか?

 

 ようやく、何々ウイルスによる呼吸器疾患、インフルエンザウイルスによる発熱など言われるようになりました。アメリカでは40年も前から当たり前だったのです。

 

 もし、自分の体に異変を感じた場合、動物由来の感染症も疑う必要があるかもしれません。そのリスクを最小限にするためにもノミダニ予防は絶対に行うべきでしょう。ワクチン接種よりもよっぽど大切だと思います。

​

 

クリニック通信 29回目   ~トキソプラズマ症について~

 

 よく、動物病院ではトキソプラズマ症についての問い合わせを頂くことがあります。おそらく、妊婦の方で病院からそのように伝えられた?またはインターネットなどで知った知識からかもしれません。ご存知の通り、トキソプラズマは猫が終宿主の原虫症です。マスコミのせいかもしれませんが、猫=トキソプラズマ症と考えてしまう方があまりにも多すぎるように感じています。確かに、猫はトキソプラズマの終宿主であり感染しても症状は出しません。

 

 私が記憶している中では、猫からヒトへトキソプラズマが感染したと断定できた症例はアメリカのヒト1例だったはずです。多くのヒトのトキソプラズマ症は、豚肉のナマ食(非加熱)が原因です。ちなみに豚はトキソプラズマ原虫の中間宿主になります。そのほかに、ガーデニングなどの土いじりも原因します。

そのたった1例が一人歩きして猫=トキソプラズマという関係に拍車をかけてしまってる事実もしっかり知っておくべきです。もちろん猫から感染しないとは言っていません。常識の範囲内で手洗い等行い口移しなどはせずに接触する分には、ほぼ問題がないと言っていいと思います。

 

 ではどのように感染予防をすべきなのかと言われたら、まずは調理で肉類特に豚肉の加熱をしっかりと行うことです。

次に、ガーデニングなど土いじりをした後はしっかりと手を洗う当たり前のことをすることが感染リスクを下げる一番の対策になります。

 

 また、妊婦の方が子供の頃に野良猫ちゃんとの接触があった場合、すでにトキソプラズマの抗体を持っている場合が多いと言われています。その場合、ヒトは感染する事はありません。全く猫との接触がなかった場合また、トキソプラズマ抗体が陰性だった場合は、なるべく猫ちゃんとの密な接触(口移しなど)は避けるべきだと思います。ただし、先ほども書きましたが、ヒトへの感染のほとんどの場合は、豚肉のナマ食(非加熱)が原因ですのでこちらをしっかりと理解しておくことがとても大切になります。

 

 では、猫ちゃんのトキソプラズマ症の検査は行うべきなのか?猫ちゃんのトキソプラズマの検査には大きく2つあり、1つは抗体検査があります。こちらは、過去にトキソプラズマに感染したかどうかを見るための検査になります。正直あまり妊婦さんのためになる検査とは思えません。もう1つはPCR検査です。現在トキソプラズマがいるかどうかを遺伝子レベルで調べる検査になりますのでこちらの方が有効かと思われます。

 

 しかし、もし猫ちゃんがトキソプラズマ陽性と判定された場合、その子たちはどうなるのでしょうか?と考えると私はあまり行いたくない検査の1つです。

 

 トキソプラズマは猫の糞便から排出されます。個人的な意見としては、妊婦の方は新しく猫を飼わない。飼っている場合は、トイレの掃除は妊婦の人が行わず他の人に任せる。猫を触った後はよく手を洗うで良いのではないでしょうか?

クリニック通信29回目

 

 

クリニック通信28回目 安楽死について考える

 

 最近、医療も進み平均寿命が格段に伸びました。多くの患者様は、小さな病変を見逃さなくなりましたので病気の早期発見ができるようになりました。その結果、様々な治療を行い良い生活ができる時間も以前よりもはるかに長くなりました。しかし、どうにもならない局面もいずれ向かえるようになります。そのような時、安楽死を考えます。安楽死を考える時、私は何を考えるかといいますと

 

1、絶対に治らない病気であること。

2、動物が苦痛を訴えていること。

3、飼い主の同意と私が安楽死が必要だと判断した場合です。

 

 1、を判断するためには、最低限血液検査やエコー検査、細胞診などが必要になります。万が一治る病気だったら話になりませんので。

 

 2、は明らかな苦痛、痛み、てんかん発作の重責などが対象になります。貧血などで寝ている場合、食欲がないだけの場合は、私は苦痛を感じているようには思えません。

 

 3、飼い主の同意、私も安楽死が必要だと判断した時。

抗がん剤治療などで、薬剤耐性になり明らかな苦痛を伴う場合は、私からも安楽死を提案する場合もございます。だいたい、その時は飼い主様も同じように感じている時だと思います。

 

 どこの病院だって、何も検査無しでいきなり安楽死をすることはないと思います。時々安楽死だけを希望しての問い合わせもありますが正直何を考えてるのだろうと思ってしまいます。また、病気をほっておいて、末期の末期の死ぬ直前に来院し『治らないなら安楽死を』(治せる病気だったのです)なんていうのもあります。大概2ヶ月以上ほったらかしで、症状だって半年以上前から出ていたはずです。衰弱状態から考えて治療しても元気に返せる保証はないとお話しすると、そのような患者さんは、まず治療を選択しません。

 

 結果、安楽死をせがまれることもあります。

 

 安楽死は、確かに苦痛もなく楽に死ぬことができます。ただ、死にたいと思っている動物は本当にいるのでしょうか?私の祖母は、尊厳死協会に入っていました。ところが、ガンになり自分の命が残りわずかだと分かると、尊厳死を撤回しました。何が言いたいかと言いますと、死にたい、延命はしたくなと思えるのは、健康な人間と苦痛で限界な人だけなのだということです。死が迫れば1日でも長く生きたいと思うのは、動物の本能だと私は思います。

 

 また安楽死には、それなりの費用がかかります。それは、命の値段です。1万円程度でできるとは思わないでください。私も苦痛を伴いながら処置を行います。本当に安楽死が必要な場合は、私から必ずお話しします。苦痛を長引かせるだけの治療は私もさせたくはありませんので。

 

 

クリニック通信   27回目  ~多飲多尿は怖いが無尿、乏尿はもっと怖い!~

 

 当院の患者様は、定期来院、検診の重要性と多飲多尿の怖さは十分に理解ができていると思います。もちろん、定期検診の度にどのくらいの水の量を1日で飲んでいたら異常かを十分に理解できていると思っていますし、説明も十分行なっているつもりです。 kg×50cc/日を超えて水を飲むようでしたら異常と考えましょう。本来健康な子は、尿量が少ないものです。普通に食事を食べ元気があれば心配することはないと思います。

 

 ちなみに、多飲多尿で疑うべき疾患は、糖尿病、クッシング症候群、腎臓病、肝臓病、子宮蓄膿症、高カルシウム血症、ガン、などです。

 

 また、いつも食べている食事を食べなくなったら飽きたのだと考える前に調子が悪いのでは?と考えること。こちらも、何度もクリニック通信や診療中に口頭で説明しているつもりです。基本的に動物は食事を飽きることは、まずありません。食事が飽きたと考える患者様は、特に猫の飼い主様で多い傾向があります。手を変え品を変え食事を与える前に、必ず受診することをお勧めします。そうしている間に病態が進行してしまってることがあまりにも多すぎるように感じています。

 

 最近、目立つことが多飲多尿を説明し、理解していただいた事はとても良かったことです。しかし無尿、乏尿を異常と考えてもらえなかったことは、こちらの説明不足でした。無尿、乏尿はとても怖い事です。無尿になりますとあっという間に尿毒症になり数日で死亡します。無尿の多くは、急性腎不全です。もっと詳しく言いますと、急性膵炎やレプトスピラ症、子宮蓄膿症といった極度の感染症から、糸球体腎炎という免疫異常が起こり急性腎不全を発症します。ちょっと専門的な話で難しかったですね。また、尿道閉塞などで尿が出せない事も同じ理由で危険なことになります。

 

 尿が出ないとは、尿が作られない場合(血圧が低い、腎臓に問題があるなど)、尿が出せない(尿道を塞ぐ何かがあるなど)2つの理由が考えられます。どちらも毒素を尿から排泄できない事にはかわりありません。もちろん、これらの原因を飼い主様が考える必要はありません。

 

 腎臓は、尿と一緒に常に毒素を排出しています。無尿になると言うことは体に毒素が溜まってしまうことになります。その毒素がたまることで、食欲不振、嘔吐、下痢、血便といった症状が次々とでてきます。独特の口臭も尿毒症の症状の一つになります。ヒトも、医者が家族を呼ぶ最期の時は尿量を見て声をかけるのです。

 

 多飲多尿に注意して観察することはとても大切な事です。それと同時に調子が悪いかも?と感じたなら、尿は出ているのかな?と見てあげることも同じく大切な事になります。難しい話ではありましたが、当院の患者様は、かなりの知識を持っていると私は思っています。ちょっと頭の片隅にでも記憶として残していただけたらと思っています。

 

 

犬のワクチン抗体価検査のお勧め

 

 当院では、犬のワクチンの抗体価検査を実施しております。以前より、複数年ワクチン接種を行なった個体からワクチンの毎年接種をやめていました。実際、それらの個体で抗体価検査を行ないますとほとんどの個体で有効抗体価を示します。無駄なワクチン接種を行い、免疫撹乱をさせるよりも、血中抗体価で確認した上で接種の必要性を判断する方が望ましいし、実際ヒトでは当たり前のことです。ただし、犬の生ワクチン(混合)に限ります。

 

 狂犬病ワクチンは、不活化ワクチンでヒトでいうインフルエンザワクチンと同様です。法律で毎年摂取が義務付けられれいます。

 

 ワクチンは、打てばいいというものではありません。もちろん摂取の必要がある子は打つべきです。ワクチンは病気予防のためのものですからワクチンの効力が切れていると判断した個体だけを摂取をすれば問題はないはずです。もし、抗体価がギリギリでしたら、次の年は抗体検査を行わず摂取すれば無駄な費用も抑えることができます。ようやく、人と同じように抗体検査を行っての摂取が当たり前になる時代が来ればいいなと思います。

 

 

クリニック通信   26回目  ~ダニ媒介性SFTSウイルス感染症~

 

 ここ数年話題になっていますSFTSウイルスは、ダニ(特にマダニ)を媒介するウイルスです。ダニというと日本人は顕微鏡レベルの小さなダニからマダニまで全てをダニと一括りに考えていると思いますが、西洋諸国ではしっかりと分けて考えられています。

 

・顕微鏡レベルのちいさなダニは、Mite(マイト)と呼ばれ代表的なのはハウスダストマイトや疥癬になります。こちらのダニはSFTSウイルスを媒介したという報告は今の所ありません。

 

・犬に寄生するマダニは、tick(ティック)と呼ばれこちらの肉眼で見てわかるダニがSFTSウイルスを媒介します。フタトゲチマダニやクリイロコイタマダニやシュルツェマダニ、ツツガムシがその代表となります。

 

・また、初夏に見られるコンクートやブロック塀に見られる小さな赤いダニを気にされる方がいます。こちらのダニはタカラダニと言われ主に花粉を食べていると言われています。吸血するダニではありません。こちらも今の所SFTSウイルスの媒介は報告されていません。不思議と7月以降は見られなくなります。

 

 マダニ類は様々な病原体を媒介していることは以前から言われていました。この事実は、獣医師であれば大学で普通に学んでいることです。しかしあまりにも世間では知られていない事実であることも確かです。

 

 もしかしたら、皆様はツツガムシ病ならわかるでしょうか?こちらもダニ媒介性のリケッチア病です。そのほか日本で見られる代表的なダニ媒介性疾患はライム病、ダニ媒介性脳炎、日本紅斑熱などです。どの疾病も早期であれば完治しますが診断が遅れれば治療困難な病気です。登山などでは肌を出さないことが大切な防御策となります。

 

 これらのダニ媒介性疾患は当然ですが目で見ることはできません。これらの病気はダニに吸血されて人間が感染すると考えられていましたがそれだけではないことがわかってきました。先日、日本国内でダニに感染した猫からSFTSウイルスに感染した報告や、ダニに感染した犬からSFTSウイルスに感染した事例が相次いで報告されました。つまり動物が人へウイルスの媒介をしているということです。しかも犬や猫ではSFTSウイルス感染で症状が出ることは稀です。

 

 犬からヒトへの感染事例では、介護が必要な犬の粘膜からヒトへ感染したとのことです。ダニの吸血で感染したのではありません。ここまでくると何を言いたいかは分かると思います。ダニの予防がどれだけ重要で、自分だけの問題ではないことを。そして動物を飼う上でダニの予防は最低限のマナーであることを。

 

 もしかしたら、あなたの動物から殺人ウイルスを撒き散らしていたら?と考えたらどうでしょうか?当院の85%の方はダニの予防に積極的で予防もしっかりされています。ただ、ほとんど散歩しないからなどの理由で予防されていない方がいるのも事実です。また、ダニ予防の投薬が明らかにいい加減な方もまだまだいます。

 

 ヒトと動物の距離が必要以上に近くなった現在今までの考え方では明らかに甘すぎます。そして我々獣医師や動物看護士も常にその危険に晒され仕事をしています。今後もしかしたらダニ予防されていない動物の診療を拒否しなくてはならない時代が近いうちに来るかもしれません。

 

 

クリニック通信 25回目  ~時間外の電話、診療について~

 

 皆さんは、休診日や夜間の電話ってどれくらいかかってくるかご存知でしょうか?

休診日の電話は平均15件、日曜、祝日の午後は平均5件、夜間は平均3件ほど電話がなります。さらに診療前に3件ほど。この全ての電話に対し、私はナンバーの照合を行い、相手へ電話をかけ直ししています。その作業に使われている時間は1年で100時間は軽く超えていると思います。また、夜中のインターホン攻撃も数週間に1度あります。

 

 正直、今の私は電話の音を聞くだけで寒気がするくらいの状態になっています。将来どのような形で電話を無くそうかと必死に考えています。電話はとても便利です。でも相手の時間を奪う最悪のツールであることも同時に理解しなくてはなりません。

 

 診療時間に関して、厳しいことを言うのは以前従業員の労働時間などで揉めたことがあったからです。もちろん、時間外労働の賃金は支払っています。それでも納得のできない子(親)がいました。もう辞めていますけど。それ以降、時間外労働について賃金を含めしっかりと考えることにしました。

 

 『たった5分いいじゃないですか?』と言う方もいるかもしれません。でもこちらは、その5分のおかげで、診療、会計、掃除などで最低45分は時間が取られます。下手すれば1時間になることもあります。そして従業員全員に支払う賃金は、残業60分でおおよそ15000円になります。もちろん前倒しで賃金は発生します。人数が増えればさらに増えます。この料金の中には当然私の賃金は含まれません。

 

 実際いただいている時間外料金3000円~は、従業員の残業代の1/3以下なのです。もちろん時間内においでいただき遅くなってしまった場合はこちらも時間外料金を頂くことはありません。

 

 私が若く、がむしゃらだった頃24時間獣医師であるべきだと思っていました。その結果多くのものを失いました。自分が正しいと思い違えていたのでしょう。それ以降私は休息も必要だと考えを改めました。そのおかげで1年を通して風邪をひくこともめっきり減りました。無理していた頃は、咳が止まらず1年の2/3は体調を崩していました。オフをしっかり取ることで得られたものの方がはるかに多いことに気づきました。おそらく今、日本が変えようとしている労働改善はそう言うことなのだと思います。

 

 話は変わり夜中、直接病院に来てインターホン攻撃についてです。夜中にインターホンを鳴らす方は逆の立場になったらどうかを考えていただきたいです。どれだけ恐ろしく迷惑なことなのかを。私の同級生は夜中に救急だと言われ出た途端、強盗に会いました。中には数百万する機械を壊された人もいます。当然、料金を払わず逃げる人もたくさんいます。近所の商店でも毎年のように強盗などの被害が出ています。このような時代です。どこの家庭だって夜中にインターホンが鳴りすぐに玄関を開けるところはないと思います。夜中のインターホン攻撃は悪徳セールス以上にタチが悪いと私は考えています。

 

 そのおかげで奪われる時間は、二度と戻ってくることはありません。実際、夜間救急とうたってる病院もあります。大概インターホン攻撃する人は、当院をかかりつけにしている人ではありません。

 

 散々考えた結果、当院の駐車場の前に頑丈な門扉をセキュリティーとして作ることを決めました。7月末から工事予定です。本当は、開放的な今のスタイルが好きです。ただ今後のことを考えるともう限界なのです。ご理解ください。

クリニック通信 25回目  

 

 

クリニック通信24回目  〜誤診って?〜

 

 最近、転院してきた患者さんで誤診ですかと聞かれることがものすごく多くなりました。でもほとんどは誤診ではありません。今回は医療について少しお話ししたいと思います。

 

 医学のほとんどは確率論で物事を判断します。例えば、腫瘍があり細胞の検査をします。ガンと確定するにはある一定量のガン細胞がなくてはなりません。当然グレーゾーンもあります。手術で簡単に取れるならばそれで良いかもしれません。抗がん剤の投与が必要なガンの場合当然グレーゾーンだと困るわけです。抗がん剤の投与で命を縮めるリスクもありますので。その場合、何度か検査をし進行具合を見て判断するしかありません。また、細胞の検査で明らかにガンを疑っていてもがん細胞が出なかった場合それは誤診でしょうか?(多くの方は誤診だと思うようです)私たちは、たとえガンだったとしても、がん細胞が出ていないものは無いと診断しなくてはなりません。逆に無いものをあると言うことが虚偽となり罪となります。

 

 次に、腸閉塞などはほぼ試験切開となります。多くの場合レントゲンやエコー検査をしますがあくまでも補助的な診断にしかなりません。残念ながら私のような一次診療病院では、触診が一番の決め手となります。私の中では、異物を触知でき痛みがあれば閉塞の疑い。なければ異物があっても閉塞では無さそうです。もちろん閉塞がなくても異物を取り除くのは罪では無いと思います。

 

 では、画像所見で異物が見つからなかった場合誤診でしょうか?触診で見つけられなければ誤診でしょうか?レントゲンなどは映らないものもあります。うっすら映っても確定はできません。触診でも見つけられないことはごく稀にあります。映っていないものをあると診断すれば虚偽です。触診で触れないものをあると診断すれば虚偽です。みつからない物は無いと診断しなくてはなりません。もちろん疑いがあればなんども検査はします。ただ、機械にもヒトにも検出限界があります。バックにCT、MRIなどがあれば当然違うと思います。

 

 さらに、レントゲン、エコー、触診で異物などを発見できなかった場合、どの段階で試験切開すべきか?東大などの病院なら70%の疑いで試験切開しても誰も文句は言わないと思います(天下の東大ですから)。私のような一次診療の病院規模では少なくとも95%の疑いがなくては試験切開などできません。実際、試験切開して何も出てこなかった時、東大なら誰も文句は言わないでしょう。逆に私の病院なら不満を漏らしていきます。実際に切開してくれと言われ試験切開し機能性イレウスだったと診断した時、全てにおいてそうでした。

 

 

 何が言いたいかと言いますと、私たちは神様ではないので全てが何とかなるわけでもありません。当然絶対もありません。だから断定的な言葉は私たちは使用しないのです。また、疑いがかなり濃厚でも無い時は無いとしか言えないのも事実です。そのために私たちはカルテにその事実のみを記載していきます。また、病院規模によって試験切開の判断には大きな差があります。実施するにも70%の疑いで勝負できる大病院もあれば99%の疑いがなくては勝負が難しい病院もある事実を患者様側も理解するべきだと思います。もし、当院での診療で不安がある場合すぐに申し出ていただければすぐに大病院を紹介いたします。

 

 

クリニック通信23回目  ~ヒトと動物の時間の違い~

 

 犬や猫は、生まれて1年でヒトでいう20歳まで一気に成長します。その後1年で5歳ずつ歳をとっていきます。つまりヒトの5倍の速度で時間が流れているということになります。

 

 生後1年までの間は、できるならば1ヶ月に1度の検診を行うことをお勧めします。毎月だと大変と感じるかもしれませんが、それでもヒトでいう2年に1度のチェックに相当します。栄養状態、成長、肥満の有無などをチェックしていきます。成長期の肥満は、ヒトと同じく2度と痩せることができません。かといって痩せすぎで栄養状態が悪いのも問題です。

 

 1歳を過ぎたら、3~4ヶ月に1度のチェックをお勧めします。ヒトでいう1年半に一度のチェックに相当します。更に8歳を超えたら最低でも3ヶ月に1度春夏秋冬のチェックと年に1度の血液検査を心がけるといいと思います。

 

 8歳はヒトでいう55歳に相当し、ヒトでもそろそろ健康に注意しなくてはと思う年齢です。年位1度の血液検査でも5年位1度の検査に相当します。また、10歳を超えたら(ヒトでいう60歳)年に2度の血液検査が出来ると更に理想的です。

 

 なぜこのようなお話をするのかと言いますと、来院間隔が6ヶ月以上空いていて飼い主様は『元気だ』と主張しますが私たち獣医師からの目で『絶対におかしい』と検査をしてガンや末期の診断を下すことがあまりにも多いからです。実際1ヶ月平均で5~6件そのようなガンや末期の診断になり、その95%は来院間隔が半年以上あいていて血液検査など行っていないというデータになっております。

 

 特に体重減少は飼い主様にあまり気づかれておらず、半年以上かけて10%以上の体重減少なのか?3ヶ月での減少なのかで大きく私たちの評価は変わってしまいます。

 

 また、ガンは年寄りの病気と解釈されがちですが若い子でも発症します。実際1歳でリンパ腫だった子もたくさん経験しています。もちろん老齢動物になれば更に確率は上がっていきます。対処が早ければより生存率は上がり治療効果も充分に期待できます。症状が現れ末期の状態では行いたい治療すらできないこともしばしばです。

 

 また、てんかんや心臓病治療などの継続治療で毎月薬だけを取りに来る患者さんもごく稀にいます。来院間隔があいているので『次回は診察しましょう』とお話しても1年間全く診療できない患者さんもいました。結果体重が大幅に減っていて薬の投薬量がオーバードーズになり大変な事になっていました。その飼い主様はいつも、体重の変化はないと答えていました。

 

 私たちは、毎年きっちり混合ワクチンを接種する事より定期的に来院する方が間違いなく価値があると考えています。また、病院は調子が悪い時だけ利用するのではなく定期的に車検を通すような感覚で利用する方が賢いと考えています。

 

 当院では、春と秋に検査センターが行っている血液検査のキャンペーンをお勧めしています。外注検査ですので検査が出るまでに日数はかかりますが、現時点で症状のない子などにお勧めです。価格も当院価格の半値くらいとなっております。是非ともこのような検査を有効的に利用していただけたらと思っています。

 

クリニック通信  22回目  ~狂犬病って過去の病気?~

 

 狂犬病って正直誤解を招くような名前だと私は思っています。全世界で狂犬病を過去の病気と思っている人種は日本人くらいです。50年以上も日本での発症が無いので無理もないのかもしれません。ただ、日本を取り巻く中国、韓国、北朝鮮、台湾、ロシア、東南アジア各国全て狂犬病汚染国で猛威を振るって毎年5万人以上が死亡し、そのほとんどがアジア諸国であることも知っておくべきです。

 

 私たち獣医師や医療関係者?は60年くらい前に旧東大、帝国大学で撮影された5歳くらいの男の子が犬に噛まれ、狂犬病が発症していき流涎が止まらず(飲み込めず)最後に神経症状を呈し死亡し男の子を解剖するところまで1時間半くらいのビデオを見せられます。かなりショッキングな映像です。このビデオを見れば普通のヒトは二度と日本で狂犬病を発症させてはいけないと思うはずです。

 

 そもそも、狂犬病ワクチンをなぜ犬に行うのかってご存知でしょうか?ヒトが狂犬病になるのを防ぐためヒトの代わりに犬がワクチン接種してもらうということです。ヒトが痛い思いしたく無いからといったほうがいいでしょうか?では狂犬病とはどのようにヒトに感染するのかをお話しします。

 

 狂犬病は、郊外型感染と都市型感染と2つのタイプがあります。まず郊外型感染では、多くの場合、媒介動物はコウモリとなります。コウモリの糞中にウイルスが排泄され飛沫感染(空気伝染)していきます。アフリカなどのコウモリの生息する洞窟などで多く発生します。そこに出入りするヒトや野生動物とくにイヌ科の動物が感染します。また感染したイヌ科の動物がヒトを噛んで都市型感染をおこすというパターンもあります。

 

 都市型感染はほとんどが犬との接触でおこっています。狂犬病ウイルスは様々な動物に感染を起こしますが、特にイヌ科の動物に感染リスクが高いのです。ウイルスは唾液腺に高濃度に蓄積し咬傷事故で伝染します。おそらく犬という動物はヒト懐っこく、ヒトもあまり犬を警戒しないところが感染の原因ではないかと私は思っています。数年前に台湾で狂犬病が発生したことは皆さま覚えているかと思います。日本では、ようやく野生動物に対しての調査が始まったところです。もしかしたら狂犬病ウイルスはすでに入っているのではとも言われています。実際今日本にいる獣医師たちは狂犬病を診断したことがありません。Veera などの診断基準はありますがもしかしたら見逃すかもしれません。私も一度だけ狂犬病を疑って脳を病理検査依頼したことがありました。

 

 実際発症してしまったらどうなるのでしょうか?ウイルス疾患の封じ込めは口蹄疫や鳥インフルエンザを見てわかるように、ほとんどの場合、移動制限と殺処分です。狂犬病ワクチンの接種率は50%以下(繁殖場含む)だそうです。(当院では95%)。ワクチンメーカーも採算ラインでしかワクチンを生産していません。作るまでに3ヶ月かかるとすると接種していない子はどうなるか想像ができると思います。恐らくその時はヒトのワクチンの方が優先されるかもしれません。そうなる前にもう一度冷静な目で狂犬病という病気を見つめなおしてみませんか?

クリニック通信22回目

 

 

クリニック通信   21回目   ~節足動物媒介感染症 エチケットとしてのノミダニ予防〜

 

 節足動物とは、昆虫類、クモ類、甲殻類、ムカデ類など固い殻を持つ動物のことを言います。とくにヒトやイヌ、ネコで問題になるのは、ノミとマダニです。どちらもヒトにも吸血する節足動物です。ただ寄生して痒いだけでないことを理解していただけたらと思います。

 

 私たち獣医の世界では節足動物が媒介する人獣共通伝染病数多く存在する事を当たり前のように知っていますが、なかなか一般の方まで伝わらないのが現状でした。最近になって、マダニを媒介としてヒトに重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を起こし死亡例が多数出た事で有名になったところだと思います。イヌやネコでは感染の事実はありますが発症の報告は今現在ありません。多くのものはヒトでの感染で問題になる事の方が圧倒的に多いです。代表的なものを少しお話ししたいと思います。

 

 ダニ類が媒介しヒトに感染し発症する

SFTSは有名だと思います。数多くの死亡者が出ている事は皆様ご存知だと思います。他にも、有名どころでは、ツツガムシ病、その他にも、日本紅斑熱、ライム病、野兎病、ダニ媒介性脳炎などもあります。これらもSFTSに劣らず死亡率の高い感染症です。また、イヌに感染し発症するのはバベシア症、ヘパトゾーン症などです。赤血球の中に寄生し溶血させる恐ろしい疾患です。現在駆虫薬がなく完治させるのは難しい病気です。

 

 ノミが媒介しヒトに感染する感染症

ネコひっかき病、うちの家内も感染し診断されるまでに4件の病院を回りました。私がネコひっかき病が怪しいといってもなかなか信じてもらえず長い期間苦しみました。イヌ、ネコに感染するものとして瓜実条虫やヘモプラズマ症などがあります。とくにヘモプラズマは駆虫までにかなりの期間が必要になり完治しない場合もあります。

 

 蚊が媒介しヒトに感染する感染症は、デング熱や日本脳炎が有名です。海外ではマラリア、ウエストナイル熱などもあります。イヌ、ネコに感染するものとしてフィラリア症があります。

 

 ダニの発生は年々早くなり、この地域では3月上旬から活動を開始し12月くらいまで、時には1月2月でも発見される事もあります。ノミの活動期間は、ほぼ一年中です。動物とヒトとの距離が近くなり最近はほとんどが室内に出入りする子がほとんどです。節足動物の吸血もヒトと動物どちらもおこないます。とくにヒトとの接触の多い動物たちは、ノミダニの予防をしっかり行う事をお勧めします。というよりも、周りの動物たちに感染させないための最低限のエチケットだと思います。

 

 最近の傾向として、フロントラインなどの皮膚につけるタイプのものから経口投与型になりつつあります。室内飼育でシャンプーなどの作用を受けないという利点が大きいようです。フィラリア予防薬との合剤や長期作用型の経口薬もあります。どちらも副作用が無く安心して投薬ができています。皮膚に接触しないので皮膚炎のリスクも少なくなります。

 

 

クリニック通信 20回目   ~犬の歯科処置について~

 

 ヒトと違って動物たちの歯科処置には全身麻酔が必要になります。綺麗な処置を行うためにはどうしても全身麻酔は必要になります。一昔前なら全身麻酔というと危険と考えたかもしれません。現在は、日帰りで行うことができます。

 

 私の犬たちは毎年スケーリングを行っています。もちろんそこまで必要ないのかもしれませんが、獣医師の練習のため動物病院の犬たちは毎年スケーリングをしています。最近16歳になる実家のダックスの子が、毎年スケーリングをしていることで脱落した歯が一つもないことに気づきました。麻酔をかける事を怖がり歯石がたくさん付着して何本も抜歯を行わなくてはならない子とどちらが幸せなんだろうと考えてしまいました。

 

 もちろん、毎年の麻酔までは必要ないと思います。できることならたくさん歯石が付着する前に、抜歯の必要がない段階でスケーリングできることが理想ではないかと考えています。 

 

 ヒトでは、3度の食事の後に歯磨きをきちんと行っていても半年に一度はスケーリングと言われています。私もそのようにしています。犬では1日1回歯磨きをしていても初回5~6歳時、以降2年に1度くらいのペースでスケーリングを行うのが良いかと思います。もちろん、歯石がたくさん付くようならそれよりも短い期間で行う方が良いと思います。

 

 歯は顎骨を構成する一部です。歯を失うことは、噛めなくなることはもちろんの事、顎の骨の強度も弱めます。全ての歯を失った子たちは、極端に顎が小さくなってしまうのはそのためです。

 

 また、歯石は菌の塊です。歯周疾患から血液に菌が流れ込み肝炎や椎間板脊椎炎、心内膜炎などの疾患を引き起こす場合もあります。だから、できる限り歯を綺麗にしておく事が大切なのです。ちなみに、人間の寿命が延びたのは、歯を残す事ができたからだと言われています。

 

 実際の歯科処置では、麻酔前の血液検査をおこないます。ここで思いもよらぬ病気が発見されることもあります。血液検査で合格したら、スケーリング、ルートプレーニング、ポリッシング、必要があれば抜歯と処置をしていきます。きちんとした検査、手順で処置を行っていけば麻酔でのリスクは、ほぼ無いと考えてよいかと思います。むしろ歯をなくすリスクの方がはるかに大きいと言っても過言ではありません。 

 

 せっかく、高い費用をかけてスケーリングを行うのですから、歯磨きをしてその後の維持をしっかり行っていく事が大切です。なるべく、麻酔処置が必要にならないように最大限の努力をする事も大切です。

 

 ヒトだって毎日歯磨きしていても歯石が付き半年に一度のスケーリングが必要なのですから犬でも同じです。ちなみに、歯を綺麗に維持できている子たちの平均寿命はそうで無い子たちよりも2年から3年長いと私は感じています。年だから歯科処置を諦めるのではなく早めの対策を行う事が大切だと思います。実際年だからといって麻酔をかけられ無いという事はほとんどありません。            

犬の歯科処置について

 

クリニック通信 19回目   ~定期来院、定期検査の重要性~ 

 

 ここ最近、高齢動物で来院頻度の少ない患者様の診療で、手のつけられない末期の診断を下す事が多くなりました。そのほとんどは、飼い主様が全く気づいていません。毎日動物と接している事で小さな変化が気づきにくくなっているのかもしれません。

 

 実際私が管理している犬でも毎日世話をして観察していても甲状腺機能低下症を見逃していたくらいです。獣医師であっても見逃してしまうのです。それ以来、私の管理する全ての動物に毎月1度健康診断を行う事にしました。

 

 犬や猫たちは、人でいう1年で約5歳年をとります。半年診察を受けていない子でしたら2年半ほったらかしているのと同じ事になります。飼い主様から見れば、たった半年と考えてしまうかもしれませんが、末期の病態まで病状を進行させるには十分な時間だという事もご理解いただけると思います。

 

 若い個体でも、最低4ヶ月に1度の来院が必要だと考えています。また8歳を超えたら、できれば3ヶ月に1度の来院、10歳超えたら更にもう一度くらいの来院ができれば理想だと思います。更に、定期的に血液検査ができればより安全だと思います。もちろん、それだけ来院しても全ての病気を発見できるわけではありませんが見逃すリスクは1/10以下になるのは間違いありません。

 

 正直なところ、症状があって病気が見つかる時はすでに末期の病態の事もあります。できる事でしたら症状が出る前に定期的な血液検査、エコー検査などで早期の発見をお勧めします。もちろん症状が出て初めて見つかる疾患もあります。全ての結果い異常がなくても、その時の検査結果が参考値となりどのように病態が進行したのかがすぐに分かるようになります。異常を見つけるのではなくどのように推移してきたのかを診る事に意義があります。

 

 春と秋に検査センターがキャンペーンで血液検査を格安で行ってくれます。現時点で異常な症状がなければこのようなキャンペーンでの検査をお勧めします。また、明らかな異常が認められる場合にはお勧めしません。

 

 話は変わり継続治療が必要な個体でも、薬だけを毎月取りに来られ、『次回は診察しましょう』とお話ししても1年間全く診療する事ができない患者さんも僅かながらいます。狂犬病のワクチン接種で来院し体重が15%も減少し結果、薬がオーバードーズになっていました。飼い主様の報告では、体重の変化はないとの事でしたが。

 

 動物たちは、体が小さいのでたった200gの体重減少でもヒトの場合とは全く違います。チワワの2kgの子の200gの変動は10%の変動です。大きな病気があるかもしれないと疑うには十分な所見になります。また薬の量は体重によって調整します。10%のズレがあったら大事になる事もすぐにわかると思います。

 私たちが、はじめに疑う重病のサインは、『体重減少』『美味しいものしか食べない』『わがままで食べないとが多くなった』などです。他にも『お水を飲む量が多くなった』『おしっこの量が多くなった』なども重要なサインです。飼い主様のちょっとしたお話しの中から病気が見つかる事も多くあります。遠慮しないで疑問に思う事は何でも聞くようにしてください。

 

 

クリニック通信  18回目   本当にワガママでしょうか?~動物の病気を見逃さない為に~     

 

 最近、飼い主様が『美味しいものだけしか食べなくなったんだよね』と言ってきた動物たちが立て続けに重度の疾患を患っていた事が続きました。

 

 私たちからすれば、『美味しいものしか食べない』は、食事を無理して食べていると解釈しますが、一般の飼い主様はワガママと判断することが多いようです。

 動物たちは、自分が食べない方が良いと判断した時は食事を制限することが多いです。軽い胃腸炎程度なら絶食状態になることで自然に消化管組織は修復されます。逆に食べてしまったことで症状を悪化させてしまうことも多々有ります。多くの場合、人が余計なことをして症状が悪化してしまうことのほうが圧倒的に多いのも現実です。

 

 動物たちは、本来毎日食事ができたわ

けではありません。特に、犬、猫、のような肉食動物に近い動物たちは獲物を捕らえた時だけ食事にありつける訳です。1週間食べられないことも結構あったのではないかと想像できます。だから肉食の野生動物たちは食事を取るとき手っ取り早くカロリーを取れる内臓脂肪から食べていくのです。

 

 はっきり言ってしまえば、犬や猫は味がわかってるのではなく脂が多いものを好んで食べるのです。オヤツのジャーキーや半生フードには大量のプロピレングリコールという人工的な脂が入っています。おいしそうな缶詰フードにもギトギトの脂が入っているのは動物たちがよく食べるように(飼い主が喜ぶように)必要以上に入れてるわけです。

 

 その脂の多い美味しいものを胃腸障害があり絶食して修復しようと思っている時にヒトは、心配で何か食べるものをと必死で探し脂分の多い食事を与えてしまい症状は悪化してしまう悪循環を作ってしまっているのです。ヒトだって、消化管の手術などした時って、いきなり焼肉なんかは食べませんよね?むしろ食べれば地獄が待っていることくらい想像できると思います。普通は、カロリーの低いお粥などから食べ始めます。動物たちも絶食後はカロリーの低い食事から始めるのが一般的です。

 

 『美味しいものしか食べない。』と言うときは、消化管障害で食べられない、全身状態が悪く食べられないなど何か理由があるはずです。簡単にワガママでないかと判断しないように心がけてください。ヒトだって、毎日お米食べていても食べたく無くなる事はまずないですよね?いつも食べている物を食べなくなった時は重大なサインなんだと考えてください。

 さらに、10%を超える体重減少が加われば多くの場合ただ事ではない病気が隠れていることが殆どです。

 

 病気を早期に発見するには、食事は良いものでいつも同じものを与えるのがベストだと思います。食事をコロコロ変更してしまえば病気の発見は必ず遅くなります。意外とヒトのやってることって余計なことで動物にとっては良くないことが多いんです。

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クリニック通信17回目  ~獣医師からの視点~ 症状編  急ぐべき疾患とは

 

下痢、嘔吐

 

 多くの飼い主さんは、何度もする派手な下痢血便で大慌てをするようです。脱水してしまうのではないか?死んでしまうのではないか? 逆に1日一度の軟便だと大したことではないなんて思ってること多くありませんか?

 下痢の症状は大きく2つに分かれます。

1 大腸性の下痢

 頻回(1日4~10回以上)、少量、

 テネスムス(渋り)あり、体重減少なし

2 小腸性の下痢

 1日1 ~2回、通常量~多め、渋りなし

 体重減少あり、

 大腸の働きは、水分を吸収する事です。小腸は栄養素を吸収する臓器です。どちらが命に関わるのか考えてみればすぐに答えが出ると思います。

 一般的に私たちが下痢をする場合、何度もトイレに通い気づいたときには治ってるという記憶はあるかと思います。その症状が急性大腸炎です。だからどんなに出しても決して痩せはしません。動物において救急疾患にしないためには絶食絶水が一番です。水を飲ませることで嘔吐を促し結果脱水させてしまう事になります。どちらの症状も次の日の診療で大抵はなんとかなります。

 小腸の異常の場合、急激な体重減少や低栄養による腹水、胸水など命に関わることが多くあります。急性膵炎などが代表的です。1日一度の軟便だからと様子を見るのではなく必ず検査をされた方が良いかと思います。もちろんヒトの場合も同様です。

 

尿の異常

 

 のんびり構えてしまう方がとても多い症状の一つです。泌尿器の異常は基本救急です。24時間以内の診療をお勧めします。

 よく、血尿が出たけど治ったという方がいます。大抵は、膀胱結石などが見つかることが多いです。絶対に治療なしでは治りません。ちなみに、ヒトで血尿が出ることはまず無いですよね。肉眼的にわかる血尿は、医学的にはかなりの血尿になります。肉眼でわからない血尿でもかなりのレベルであることもご理解ください。

 頻回尿や無尿、逆に尿量が多くなることも大きな疾患が見つかることが多いです。もし、尿の排泄ができていなかったとすると2日もあれば命は無くなると考えたほうが良いでしょう。ヒトのお医者さんが最期に家族を呼ぶときは、尿量を見て判断します。それほど恐ろしいことなんです。特に雄猫や雄犬は尿道が細く尿道閉塞になってしまうことが多くありますので気をつけましょう。

目の異常

 

 こちらも飼い主様がのんびり構えてしまう事のとても多い症状の一つです。大抵、飼い主様の評価よりも私たちは重い判断をしています。

 目やにが出ているだけだからとのんびりしていて失明なんてザラにあります。涙の分泌異常、眼球内の異常、眼圧の異常、角膜の異常などなど見た目では判断できない疾患も多く、もっと早く来ていたら何てことも多いです。もちろん大したことのない時もありますが、自己判断せず早めの診療をお勧めします。

 

10%以上の体重減少

 

 意外に大きな病気が隠れていることが多いです。ダイエットに成功したと考える前に早めの来院をお勧めします。ヒトと同じでなかなか痩せないのが一般的です。

 

 

 

クリニック通信16回目  ~動物医療保険について~

 

 動物医療保険は、現在保険と認められている会社が3社、他多数あります。

大きな違いは、倒産した時に国が補償するかしないかです。当然保険と認められた会社の方が掛け金が高いことは容易に想像できると思います。

 

 私は、保険医療に関しては基本反対の立場です。もしかすると、ヤブ医者を育てる温床になってるのではとも考えています。人の医療でもそうですが、もしオペをして1週間で退院させる名医を1億で1人雇った場合と同じオペをして合併症だなんだで半年入院させるようなヤブ医者を1000万で5人雇った場合、病院経営としてはどちらが儲かるのでしょうか?と学生時代に考えたことがありました。ちょっと大げさな表現で申し訳ないのですが、現実のところどうなのかは分かりません。

 

 話は変わり、動物医療保険とは動物病院とは関係なく飼い主様と提携するものだと私は考えています。ヒトの任意の医療保険だって窓口で精算できるところは無いはずです。動物病院が間に入ることで意外に飼い主様が見落としているところもあるのではと考えています。50%負担だからと知らず知らずのうちになんて事もあるかもしれません。 本来必要ない検査、書類作成料金、手数料など知らぬ間に追加されていたり、入院日数が必要以上に長くなったり。経営の傾いた病院、規模が大きい病院なら尚更かもしれません。私だって、経営が傾けばそうなるかもしれません。 また、病院側にそれなりの金銭的なメリットがなければ提携するはずがないという理由も容易に想像できるかと思います。

 

 そのような理由で当院では、保険会社との提携は全く考えていません。もちろん、明細を出しますので保険請求はなんら問題なくできます。動物の寿命が15年だとして毎年平均4〜5万円払っても50%の負担だったら実際どうなんだろう?なんて隅々まで契約書を読んだ方はどれだけいらっしゃるのでしょうか?当然ですが現実的には、保険会社がしっかり儲けるようにできています。ヒトの医療保険や自動車任意保険と一緒です。

 

 なぜか動物医療保険では保険で得する?得をしよう?と勘違いしている人が多いように思えます。人の医療保険や、自動車任意保険で得すること考えて契約する人は誰もいないと思います。保険って本来そのようなものです。もし得する人がたくさん出ているようでは、そこの保険会社は間違いなく倒産します。

 

 私は動物医療保険に不満があります。確定診断名を書くと(同一疾患2度目など)保険が降りなかったり症状だけの記載なら100%降りたり本当に訳がわからないのが保険の現状です。結果、保険請求の際は確定診断が出ていたとしても症状のみの掲載にするよう心がけています(診断名または症状をと書かれています)。ちなみに、動物病院で記載を誤魔化すのは保健詐欺になります。保健詐欺の罰則ってものすごく重いんです。決して動物医療保険で得するとは考えず、まさかの時の保険なんだと理解してほしいものです。というよりも、その金額を貯金しておく方がよっぽど賢いのだと私は思っています。

動物医療保険について

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